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ベジタリアン海外記事
いろいろ
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夏目漱石「明暗」の一部を掲載。

菜食になるという議論をする際おいしいまずいという道に入り込むことが多々ある。

この内容は直接菜食に関わるものではないがここに出てくる小林の意見/説教を私は高く評価する。

普段なにげなく通り過ごしている、あえて立ち止まって考えてみようとしない、

考えたくないから知らん振りをしているある場所をこの小林は教えてくれる。

少なくとも私はそれをあっさり認めることによって心のもやが晴れた。

 

   百六十四
百六十四 ペンで原稿紙へ書きなぐるように認(したた)められたその手紙は、長さからいっても、むろん普通の倍以上あった。のみならず宛名は小林に違いなかったけれども、差出人は津田の見たことも聴いたこともないまったくの未知の人であった。津田は封筒の裏表を読んだ...
   百六十五
百六十五  その時さっき火を点けて吸い始めた巻煙草の灰が、いつの間にか一寸近くの長さになって、ぽたりと罫紙(けいし)の上に落ちた。津田は竪横(たてよこ)に走る藍色の枠の上に崩れ散ったこの粉末に視覚を刺激されて、ふと気が付いて見ると、彼は煙草を持った手をそ...
   百六十六
百六十六   小林の所作は津田に取ってまったくの意外であった。突然毒気を抜かれたところに十分以上の皮肉を味わわせられた彼の心は、相手に向かって躍(おど)った。憎悪の電流とでも言わなければ形容の出来ないものが、とっさの間に彼の身を通過した。  同時に聡明...
   百六十七
百六十七 間もなく三人は離れになった。 「じゃあ失敬、僕は停車場(ステーション)へ送って行かないよ」 「そうか、来たってよさそうなものだがね。君の旧友が朝鮮へ行くんだぜ」 「朝鮮でも台湾でもご免だ」 「情合(じょうあ)いのないことおびただしいものだ。そ...
[1] [2] 

引用 

「明暗」 夏目漱石

[日本の文学14  夏目漱石(三)/中央公論社]

 

Light and Darkness

an unfinished novel by Sōeske Natsume

TRANSLATED FROM THE JAPANESE, WITH A CRITICAL ESSAY

BY V.H.VIGLIELMO

CHARLES E. TUTTLE COMPANY

SUIDO 1-CHOME, 2-6, BUNKYO-KU, TOKYO

 

 

  
  
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