「本書のはじめに筆者は、道教徒たちが「驚くべき」「不思議な」世界を展開していくと書いた。
確かに、そこに広がる世界は、多くの現代人の目には奇異なものとして映るだろう。
しかし、よく目を凝らして見てみると、彼らは何もとっぴなことを行っていたわけでなく、
交接・懐胎・出産という、あらゆる生命体がごく自然に行ってきた営みの枠組みから、
すこしも外へは踏み出していないことがわかる。
人間が生命の神秘に迫れば迫るほど、そこに見えてくるのは、
そのような偉大なる自然の営みであった。
人々はそれを「道」と呼んで、その懐へ帰ろうとしたのである。」
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